STORY/ 矢櫃のはじまり ― 狼煙が結んだ村
かつてこの地で上がる煙は、海の異変を報せる警報でした。物語は、四百年前にさかのぼります。
四人から始まった村

いまから四百年前、元和年間(1615〜1623)。この地に最初の灯をともしたのは、紀州藩初代藩主・徳川頼宣。徳川家康の十男にして、八代将軍・吉宗の祖父にあたる人物です。
頼宣は、古座から二組の漁師夫婦をこの荒磯へ移し、海上を見張る役を託しました。わずか四人から、矢櫃の歴史は始まります。
人とバイク以外、車の通れる道はない。海に迫る急斜面に家々が寄り添う、陸の孤島。
やがてこの集落の高台には、異国船の出入りを見張る狼煙場が置かれました。異変を見つければ煙を上げ、和歌山城へとリレーする。この村にとって狼煙とは、遠くへ意思を届ける、最初の合図でした。

お日待ち|三百五十年続く感謝の祭り
頼宣亡きあと、村人はその恩に感謝し、藩祖の坐像を刻んで「南龍神社」を建てました。寛文十二年(1672)のことです。
以来三百五十年あまり、毎年一月、村人は「お日待ち」に集い、始まりへの感謝を捧げ続けています。この行事は、平成十四年に有田市の無形文化財に認定されました。
途絶えていた「裸参り」も、平成二十九年、若い力で三十数年ぶりに蘇りました。




監視の村から、迎える村へ
海を見張った村は、釣りの聖地となり、人を迎える村になりました。四百年前、ここで上がった一筋の煙。それはいつも、何かの始まりの合図でした。
NOROSHIは、その煙を受け継ぎます。
祝祭は、ここから。

